大切な古い時計を永く使うために。プロが教える日常メンテナンスのコツ|おたからや 大船東口店
- おたからや大船店スタッフ2号
- 7月10日
- 読了時間: 9分
更新日:7月14日
「父から譲り受けた大切な時計、これからもずっと使い続けたい」 「若い頃に手に入れた思い出の一本、その輝きと精度を永く保つにはどうすればいいのだろう?」
紳士の皆様、ご自宅に、そんな思い入れのあるヴィンテージウォッチやアンティークウォッチはありませんか? 長い時を共に過ごしてきた時計は、単に時間を知るための道具ではなく、人生の様々な場面を記憶する、かけがえのない相棒であり、物語そのものです。その輝きを次の世代にまで繋いでいくためには、日々のちょっとした心掛け、つまり「日常のメンテナンス」が非常に重要になります。

こんにちは!大船駅東口からすぐのおたからや大船東口店です。私たちは時計の価値を査定するプロとして、数多くの時計に触れてきましたが、大切にメンテナンスされてきた時計は、何十年経っても美しい輝きと精度を保っていることを実感しています。
この記事では、皆様の大切な古い時計を永く使い続けるために、ご家庭でできる日常メンテナンスのコツ、正しい保管方法、そしてプロに任せるべき定期メンテナンス(オーバーホール)の重要性について、専門店の視点から詳しく解説してまいります。
なぜ古い時計には「特別なメンテナンス」が必要なのか?
まず、なぜヴィンテージやアンティークと呼ばれる古い時計には、現代の時計以上に丁寧な扱いが求められるのでしょうか? それは、現代の時計とは異なる特性を持っているからです。
防水性の問題: 現在の時計のように高い防水性が標準装備されているわけではありません。スクリューバック式の裏蓋やねじ込み式リューズが採用されていても、内部のゴムパッキンが経年劣化している可能性が高く、基本的に**「非防水」**と考えるのが賢明です。
耐磁性の問題: 私たちの身の回りには、スマートフォン、パソコン、スピーカー、カバンの留め具など、強い磁気を発するものが溢れています。古い時計は磁気に対する耐性が低いものが多く、気づかぬうちに磁気を帯びてしまい(磁気帯び)、精度が大きく狂う原因となります。
耐衝撃性の問題: インカブロックなどの耐震装置が普及する以前の時計や、現代のものほど衝撃吸収性能が高くない時計も多く存在します。落下はもちろん、強い衝撃は内部の繊細な部品に深刻なダメージを与える可能性があります。
部品の希少性: 製造から数十年が経過しているため、当然ながら交換用のオリジナル部品は製造終了しています。一度、歯車などの部品が大きく摩耗したり、破損したりすると、修理が非常に困難になったり、部品を特注するために高額な費用がかかったりするケースがあります。
これらの理由から、日々の丁寧な扱いとメンテナンスが、古い時計の寿命、そしてその価値を大きく左右するのです。
プロが教える!家庭でできる日常メンテナンスの5つのコツ
専門的な道具がなくても、日常のちょっとした心掛けで、時計の状態は格段に良く保てます。ぜひ今日から実践してみてください。
① 汚れを優しく拭き取る習慣を 一日の終わりには、セーム革やマイクロファイバークロスといった、柔らかく清潔な布で、時計全体を優しく拭き上げましょう。ケースやブレスレットに付着した汗や皮脂、ホコリは、金属の錆や腐食、変色の原因となります。特に、裏蓋やブレスレットのコマの間は汚れが溜まりやすいポイントです。コマの間などの細かい部分は、毛先の柔らかい歯ブラシなどで軽くブラッシングしてあげると効果的です。この一手間が、時計の外観を美しく保つ第一歩です。
② リューズの操作は「優しく、丁寧に」 時計の心臓部を操作するリューズの扱いは、特に丁寧に行いましょう。
ゼンマイの巻き方(手巻き時計): 巻き止まり(抵抗が強くなる点)がある時計は、それ以上無理に巻かないでください。ゼンマイが切れる原因になります。毎日、朝起きた時など、決まった時間に巻く習慣をつけると、時計の精度も安定しやすくなります。自動巻き時計でも、長期間使わなかった場合は、着用前にリューズで20~30回ほど優しく巻き上げてから時刻を合わせると、機械に負担がかかりにくくなります。
時刻・日付合わせ: 多くの機械式時計には、**日付の早送りを避けるべき時間帯(一般的に夜8時~朝4時頃)**が存在します。この時間帯に無理に日付を変更すると、歯車が破損する恐れがあります。まずは針を回してこの時間帯を避け、日付を合わせてから時刻を合わせるのが安全です。操作は基本的に時計回りで行いましょう。
ねじ込み式リューズの確認: ダイバーズウォッチなどに多いねじ込み式リューズは、操作後に必ずしっかりと締めることを忘れないでください。締め忘れると、そこから湿気やホコリが侵入し、故障の大きな原因となります。
③ 「水」を徹底的に避ける 前述の通り、古い時計は防水性が期待できません。「ANTIQUE」「VINTAGE」と書かれていなくても、製造から20年以上経過した時計は「非防水」と心得るべきです。手洗いの際の僅かな水しぶきや、突然の雨でも注意が必要です。万が一、濡れてしまった場合は、すぐに乾いた布で丁寧に水分を拭き取ってください。もしガラスの内側が曇るなど、内部に水が入った疑いがある場合は、迷わず速やかに専門家へ相談しましょう。
④ 「磁気」から時計を守る 現代生活における最大の敵の一つが「磁気」です。時計が磁気を帯びると、内部のヒゲゼンマイが磁化してしまい、時間が急激に進んだり、遅れたり、止まったりする原因となります。
保管・使用時の注意: スマートフォン、パソコン、タブレット、テレビ、スピーカー、ハンドバッグのマグネット式留め具など、強い磁気を発するものから最低でも5cm、できれば10cm以上離すことを心掛けましょう。就寝時にスマホの隣に時計を置くのは避けるべき習慣です。
磁気帯びのチェック: もし時計の精度が急におかしくなったら、磁気帯びを疑ってみてください。方位磁針(コンパス)を近づけてみて、針が大きく振れるようであれば磁気を帯びています。磁気抜き(脱磁)は、専用の機械があれば自分でも可能ですが、時計店で簡単に行ってもらえます。
⑤ 「衝撃」を避ける 繊細な機械式時計にとって、強い衝撃は天敵です。
ゴルフやテニス、野球といったスポーツをする際や、衝撃が加わる可能性のある作業をする際は、必ず時計を外しましょう。
もちろん、落下は厳禁です。着け外しの際は、落下しにくい低い位置で行うなどの配慮が大切です。
時計の休息場所:コンディションを保つ正しい保管方法
時計を使わない時の保管方法も、そのコンディションを左右する重要な要素です。
保管場所: 高温多湿、直射日光を避けた、風通しの良い安定した場所が理想です。タンスの引き出しや、専用のウォッチケースなどが適しています。長期間保管する場合は、乾燥剤などを近くに置くのも良いですが、直接触れないように注意してください。
保管方法:
専用のウォッチケースや、柔らかい布を敷いた箱に個別に保管しましょう。他の硬いアクセサリーなどと一緒に無造作に入れると、傷の原因になります。
長期間(数ヶ月以上)使わない場合でも、月に一度はゼンマイを巻き、少し動かしてあげることをお勧めします。これにより、機械内部の潤滑油が固着するのを防ぎ、いざ使う時にスムーズに動き出します。
日常メンテナンスの限界と「オーバーホール」の絶対的な重要性
日々の丁寧な手入れは非常に重要ですが、それだけでは防げない内部の劣化が必ず進行します。それが、機械内部の潤滑油の劣化・乾燥・汚れです。
車のエンジンオイルが定期的な交換を必要とするのと同じように、時計のムーブメントに使われている潤滑油も、時間と共に劣化し、その性能を失っていきます。油が切れた状態で歯車が動き続けると、部品同士が直接摩擦し、深刻な摩耗を引き起こします。これが、精度の悪化や、最終的には修理不可能な故障に繋がるのです。
そこで絶対に必要になるのが、プロによる「オーバーホール(分解掃除)」です。
オーバーホールとは?: 時計を完全に分解し、部品を一つ一つ丁寧に洗浄、新しい潤滑油を注油し直し、摩耗したパッキンなどを交換し、再度正確に組み立てて調整する、時計の健康診断であり、最も重要なメンテナンスです。
オーバーホールの頻度: 一般的に、機械式時計は3年~5年に一度のオーバーホールが推奨されます。ヴィンテージ時計の場合は、使用頻度や状態にもよりますが、定期的な点検とメンテナンスがより重要となります。
オーバーホールを怠るリスク: 精度の悪化はもちろん、部品が深刻に摩耗してしまい、交換が必要になった場合、特にヴィンテージ時計では交換部品がなく、高額な特注費用がかかるか、最悪の場合修理不可能となってしまいます。定期的なオーバーホールは、結果的に時計を永く使い続けるための最も経済的な方法でもあるのです。
「おたからや大船東口店」ができること:メンテナンスのご相談から価値の鑑定まで
「修理してまで使い続けるべきか、それとももし価値があるなら手放すことも考えたい…」
そんな時計に関するお悩みは、ぜひおたからや大船東口店にご相談ください。当店は単に時計を買取するだけでなく、お客様の大切な時計に関する様々なご相談に対応できる専門知識を有しております。
現在の「価値」の鑑定: 「もし今、この時計を手放すとしたら、どれくらいの価値があるのか?」というご質問に、無料でお答えします。日々のメンテナンスが丁寧に行われ、定期的にオーバーホールされてきた時計は、当然ながら査定額も高くなります。その時計が持つ本来の価値を、しっかりと評価いたします。
まとめ:大切な一本を、次の世代へ。価値を知ることから始めませんか?
お祖父様から受け継いだ時計、人生の節目に手に入れた時計。その一本一本には、かけがえのない物語が刻まれています。その大切な時計を永く、そして最高の状態で使い続けるためには、「優しく拭く」「水と磁気を避ける」「丁寧に操作する」といった日々のメンテナンスと、3~5年に一度のプロによるオーバーホールが不可欠です。
そして、その愛情のこもったメンテナンスは、時計の精度と輝きを保つだけでなく、その資産価値をも守り育てることに繋がります。
大船駅東口近くのおたからや大船東口店では、皆様の大切な時計に関するあらゆるご相談を承っております。メンテナンスのご相談から、現在の価値を知るための無料査定まで、どうぞお気軽にお立ち寄りください。
あなたの大切な一本を、次の世代へと美しく繋いでいくために。まずはそのコンディションと、現在の本当の価値を知ることから始めてみませんか? 時計に関するお悩み、私たち専門家にお気軽にご相談ください。